2019-01-25
資料館だより
たぬきの置物②
お店の中や玄関先で、少し首を傾げ、間抜けな顔をしてこちらを見ているような雰囲気がかわいらしくもあり、人によっては怖くも感じられる『たぬきの置物』ですが、その歴史は比較的浅く、明治時代に設楽焼の陶芸家が作ったのが最初といわれています。
そして昭和26年(1951年)に昭和天皇が滋賀県甲賀市信楽町を行幸(ぎょうこう)した際に、たくさんの設楽焼のたぬきに日の丸の小旗を持たせて沿道に並べて歓迎したところ、その情景に感動した昭和天皇が
「幼などき 集めしからに懐かしも しがらき焼の狸をみれば」
と、その時の思い出を詠んだ和歌が、新聞などで報道されたことで全国に知られるようになりました。
現在でも開店祝いや引越祝いなど、招福の縁起物として贈られることが多い『たぬきの置物』ですが、それには「他(た)を抜く」という意味が込められおり、「他の店を抜くぞ。商売繁盛!」という意味を「他抜き(たぬき)」と掛けた洒落でお店などに置かれていることが多いようです。