2017-06-27
資料館だより
中種子町の埋蔵文化財
平松B遺跡
坂井屋久津の標高100から110メートルの台地上に位置し、県営農地整備事業(岩岡南部地区)の農道整備に伴い発見された遺跡です。
平成26年2月から3月の確認調査で土器片83点、石器18点が出土し、縄文時代草創期(約15000年前から12000年前)と縄文時代早期(約12000年前から7000年前)の遺物包含層が残存していることが確認されました。
これを受けて、平成26年8月から9月に全面発掘調査を実施した結果、縄文時代草創期の土器片78点、石器5点、縄文時代早期の土器片48点、石器5点の総計136点が出土しました。
縄文時代草創期の土器片としては隆帯文土器(粘土のヒモを土器の表面に付けた後、指や貝殻などで押し付けて模様を付けたもの)といわれるものが集中して出土しました。種子島において、縄文時代草創期の遺物が出土した遺跡は近年増加傾向にありますが、発掘調査が実施されたのは平松B遺跡を含め7遺跡しかありません。種子島における調査事例が少ないという点では、この調査結果が鹿児島県本土や南西諸島の縄文時代草創期の解明に、少なからず貢献できるものと考えます。
今回の調査では、生活跡と思われる住居跡や土杭などは検出されませんでしたが、出土遺物や立地条件から考えると、人々が居住していた可能性は否定できません。
平松B遺跡周辺の開発の手が入っていない場所の下には、今でも我々の先祖の生活跡が、地中深くに眠っているかもしれません。