2018-10-05
鹿児島ふるさとの昔話
発行所 株式会社 南方新社
発行者 向原祥隆氏
編者 下野敏見氏
「鹿児島ふるさとの昔話」より鹿児島県内各地に伝わる昔話をお伝えします。大河ドラマ「
どもこもならん
昔、「ども」ちゅう人と「こも」ちゅう人がおらって、
「
と
「うん、
そいで、
ほいから、こんだ(今度は)こもどんがどもどんに、
「お前のそん手を
と言うたとこいが、どもどんは
「うん、そんた(それは)
と言たち。ほいで、打っ切ったや、どもどんも、たっちんこめ切った手を
「こらもう、
と言て、二人で相談して互いの首を打っ切いことになって、「一、二、三」
の掛け声で互いの首を切った、と。とこいが(ところが)これには二人とも、どもこもならんで、ケ死んでしもうたて。
「どもこもならん」というのは、この話からはじまったそうじゃ。
んぼおるかい
あるところに
「
と、話していたと。そのうち、おんじょがケ死んで、ほっしぇ(それで)棺桶は納戸に置いたて。ところが夜になると、毎晩声がした。
「んぼ、おるかい、んぼおるかい」
「うん、おるおる」
そしたやある晩、茶碗売いがやって来て
「今夜、宿を貸してくれんか」と。
「そら、宿は貸すこた貸すが、晩になればものを言うもんがおるから、
「はあ、そら、返答をすっどこいじゃね(すればいいんだね)」
「ほいなあ(それなら)、
んぼはこう言て隣に行った、と。そしたや、声がして
「んぼ、おるか、んぼおるか」と。
「はい、おります、おります」
茶碗売いが答えると、
「おかしかどねえ。声が
と言て、棺桶が納戸から出て
「うわーっ」
茶碗売いは、
「
と、一心に唱えたそうじゃ。気が付いたら棺桶は納戸に戻っていた、と。
後で、茶碗売いから話を聞いた
そいからもう